前立腺肥大症について

北見病院 医師 吉村 朋真
 「おしっこの切れが悪くて・・」「トイレの回数が多くって・・」など排尿に関する悩みは良く聞かれます。
男性の排尿障害の原因の一つである前立腺肥大症について、吉村朋真医師にお話をしていただきました。


80歳代では80%の男性が
 排尿障害は、高齢男性の多くの方に認められる症状です。原因は色々ありますが、その中で前立腺の肥大が原因となっている排尿障害を前立腺肥大症と言います。(図1)
●図1 前立腺は膀胱の出口にあります 

 前立腺の肥大は30〜40歳代から認められ、80歳代では約80%の男性に認められます。

 主な症状としては、排尿開始の遅れ、排尿時のいきみ、尿の勢いの低下、排尿がとぎれとぎれになる、排尿後の尿のしたたり、また頻尿、切迫感、残尿感、尿失禁、膀胱部痛などがあります。

自覚症状を点数化
診察では、自覚症状と前立腺の大きさの評価を行うとともに、前立腺癌や膀胱癌など他の病気の有無についての検査をすすめます。

 前立腺肥大症の自覚症状の強さを評価する方法として、国際前立腺症状スコアとQOL(生活の質)スコアというもので点数化します(表2)。
国際前立腺症状スコアで0から7点を軽度、8から19点を中等度、20から35点を重度と判定し、中等度以上を治療対象、またQOLスコアの2点以上を治療対象と判断します。


排尿障害で受診される患者さんの多くは、前立腺肥大症を原因としていますが、中には前立腺癌の方もいますので、前立腺の触診(直腸指診)は重要な検査です。正常な前立腺はクルミ大の大きさですが、鶏卵大に触れれば中等度以上の前立腺肥大です。前立腺癌の場合は硬い腫瘤として触れます。

尿検査は血尿や膿尿の有無を調べるために行いますが、膀胱癌や尿路結石、あるいはそれらに伴って起こる尿路感染症や、似た症状がでる他の病気の有無を確認する上で重要な検査です。

血液検査では、血清PSA値の測定が前立腺癌の有無を確認するために必須の検査です。PSAの値は前立腺肥大症だけでも高くなりますが、異常に高い数値を示す場合は前立腺癌の存在を疑わなければなりません。

 超音波エコー検査では、前立腺のおよその体積や前立腺癌の有無、排尿後の膀胱内の残尿量を算出できます。

症状にあわせて治療
自覚症状が軽い場合には何も治療せず、定期的な検査で様子をみます。

少し症状が強いときは、まず薬物療法から開始し、効果がない場合には泌尿器科で、尿道から電極の付いたカテーテルを挿入して前立腺に熱を加えて前立腺を小さくする高温度療法や、手術療法として経尿道的前立腺切除術を行います。比較的安全で症状改善効果も良好です。

 また、大きさがかなり大きい時や自覚症状がかなり強い場合は手術をすることが多いです。何らかの理由で手術が出来ない場合には、前立腺肥大で狭くなっている尿道部分に管を留置する方法もあります。

 前立腺の肥大は加齢が最大の原因で、効果的な予防方法はまだ確立されていません。また、前立腺が大きいほど自覚症状が強くなるわけではなく、症状が軽くても前立腺がかなり大きい場合もありますので、排尿で気になることがある方は一度ご相談ください。