大腸がんについて

北見病院医師   松田玲奈

大腸がんは近年増加傾向にあります。一口に「がん」といっても大腸がんは比較的おとなしい癌であり、内視鏡的切除や外科療法により早期発見すれば90%ほど完全に治療できます。

また、進行癌となってしまった状態でも50%ほどは完全に治療できます。

これは膵臓がんや食道がん、胃がんなどに比べ治る可能性が高い癌といえます。


食生活の変化と遺伝

 大腸がんの発生には、食生活の急激な欧米化、特に動物性脂肪や蛋白質のとりすぎが関係するのではないかといわれています。
 高脂肪・高蛋白食そのものが発癌性をもっているわけではなく、消化管内を通過しているうちに胆汁酸や腸内細菌の作用によって発癌性をもつ物質に変化するのではないかと考えられています。
 また、5%ほどの大腸がんは遺伝的素因で発症するとされています。

 大腸がんにかかりやすい危険因子として@大腸ポリープになったことがある A血縁者に大腸がんの人がいる B長い間潰瘍性大腸炎にかかっている C治りにくい痔ろうがあるなどが挙げられます。

 大腸ポリープの多くは癌になりませんが、一部癌になることがありますので、大きさや形、色調を診て、内視鏡的にポリープ切除を行うことがあります。

早期癌はほとんど自覚症状なし

 大腸がんができやすい部位は肛門から30cmほどの直腸とS状結腸で、全体の約70%を占めています。
 症状は早期癌であるか進行癌であるか、そして癌ができた場所でかなり異なります。

 まず、早期癌ではほとんど自覚症状はありませんが、最も重要なサインはS状結腸や直腸などにできた癌のときの血便や下血、黒っぽいタール便です。便に血液が混じっているときは、痔からの出血だろうなどと安易に考えないで精密検査を受けることが大切です。

 進行癌になるといろいろな自覚症状が出てきます。
 右側の結腸は腸の中が広く、腸管内の便もまだ液体状であるため症状が現れにくいのですが、右下腹部の痛みや不快感、大きくなった癌をしこりとして触れるようになったり、体重減少や癌からの出血による貧血症状が現れるようになります。
 左側の結腸は中が狭く、腸管内の便は固形化しているため、腹痛や便秘さらに腸閉塞を起こすこともあります。

 早期発見・早期治療のためには、四十歳を過ぎたら年一回は便潜血反応検査を受け、陽性で精密検査が必要な場合には、注腸バリウムか内視鏡検査を必ず受けることが大切です。