高齢者に多い病気について

北見病院 医師
 武田 雄太
 6月24日北見西友の会の医療懇談会で、武田雄太医師がお話された内容を紹介します。

 
                       
高齢者に多い病気とは何かという問いに対して、直ちにこれが高齢者に多い病気であるという回答を出せないものであり、私も今回大変悩みました。と申しますのも高齢者の病気はほとんどの場合、原因が複合的であり、また社会的な要素が絡んでいるケースもあり、病態は単純ではないからです。

しかしながら、人間誰しも「老いる」という宿命からは逃れられないという事実から、高齢者に多い病気について考えると、全身に張り巡らされている血管の老化、すなわち「動脈硬化」に起因しているものであるといえます。

そこで今回のテーマは「動脈硬化と生活習慣病」という内容で私見を述べさせていただきます。

自覚症状が無くても
生活習慣病を治療するのはなぜ?

日本人の三大死因はガン(約31%)、心疾患(約15%)、脳血管疾患(約13%)です。
このうち心疾患と脳血管疾患をあわせると、ガンに匹敵する数字になります。
心臓発作や脳卒中は高齢者の病気と考えられてきましたが、現在では40〜50代で発症する人も増えています。
命をとりとめても、重い後遺症が残り寝たきりになるなど、以後の生活が著しく不自由になる場合もあります。
心臓発作や脳卒中の原因は「動脈硬化」です。動脈硬化を起こした血管は、血管の壁が厚く、そしてもろくなります。その結果、血栓ができやすくなったり、破れやすくなったりします。動脈硬化は老化現象のひとつですが、高血圧、糖尿病(予備軍含む)、高脂血症、高尿酸血症、肥満、喫煙などの要因があると、その進行は加速します。

自覚症状が無いことは、生活習慣病の特徴のひとつです。生活習慣病の治療は、動脈硬化の進行を抑え、心臓発作や脳卒中による死亡や後遺症を防ぐために行います。

体重を減らせといわれるのはなぜ?

最近の調査・研究で脂肪細胞から分泌される物質が、生活習慣病や動脈硬化に直接影響を与えることもわかりました。体重を減らすことは生活習慣病の改善につながるのです。

また、「肥満ぎみ」「軽い高血圧」「軽い高脂血症」「軽い糖尿病」など、たとえ軽度であっても動脈硬化の危険因子を重複して持っていると、心臓発作や脳卒中を起こしやすいことがわかってきました。このような状態を「メタボリック・シンドローム」といいます。

日本の企業労働者12万人を対象とした調査では、これらの危険因子を1つ持つ人は、全く持たない人に比べて心臓病の発症リスクが5倍に、2つ持つ人では10倍に、3〜4つ持つ人では何と31倍になるという結果が出ています。

薬を飲み続けるのはなぜ?

動脈硬化の進行を抑えるためには、自覚症状が無くても治療を続け、血圧などを正常範囲に維持することが大切です。生活習慣病にはカロリー過剰、運動不足、ストレスなど、さまざまな生活習慣が関係しています。出来ることからはじめて、生活改善をはかりましょう。また、定期的に体重を測ることは、生活習慣を考える上でよい目安になります。


メタボリックシンドローム診断基準

◎内臓脂肪の蓄積があること。目安として臍(へそ)周囲径で
男性85cm以上
女性90cm以上
(CTスキャン計測にて内臓脂肪面積100cu以上に相当する)

◎上記に加えて以下のうち2項目以上を満たす場合
" 空腹時高血糖(110mg/dl以上)
" 血中脂質の異常(中性脂肪150mg/dl以上かつ/または
? HDL40mg/dl未満)
" 血圧の異常(収縮期血圧130mmHg以上かつ/または
拡張期血圧85 mmHg以上)