大腸がん 診断と治療

北海道勤医協中央病院
消化器内科医長 草間敬司

第14回健康まつりで行われた、草間敬司先生の医療講演の内容を紹介します。(編集部要約)

 
大腸がんは多いのでしょうか?

 現在、胃がんは男女とも減少傾向にありますが、大腸がんの罹患率(かかる割合)は男女とも確実に増えてきています。
がん罹患率の統計では、男性では胃がん・大腸がん・肺がんの順、女性では乳がん・大腸がん・胃がんとなっています。
図1 年齢とともに大腸がんが出やすくなる            

 次に死亡率の統計を見ます。日本人の3人に1人はがんが原因で命を落としていますが、ここでも胃がんは減少傾向にあります。

男性では肺がんが一番ですが次いで胃がん・大腸がんとなっています。

女性では大腸がんが胃がんを抜いてトップとなり、次いで肺がん・乳がんで命を落としています。

 では、大腸がんの発見率を年齢別で見てみましょう。(表1)検査を受けた人数は50歳代が一番多いのですが、発見率は年齢とともに上がっていくのが良くわかります。年齢が高い人ほど健診の重要性があるといえます。



大腸がん検診は意味があるのか?

 一般的な大腸がんは粘膜から発生し広がっていきます。資料8−1は、大腸の壁の総構造をあらわしたものですが、このうち粘膜下層までにがんが留まっている場合を早期がんといい、100%近く完治します。

資料8−2は、大腸がんの病期と予後を表したものです。

5年生存率とは、5年後も生きている割合ですが、Dのようにがんが腸の壁を越えて、周辺のリンパ節をはじめ肺や肝臓に転移が認められる場合は生存率が下がり、予後が良いとは言えません。

 大腸がん発見のきっかけなどを調べた研究報告では、血便や便通異常(便秘・便が細いなど)、貧血など自覚症状があった集団と検診など無症状の集団を比較検討し、明らかに検診で発見されたがんの方に早期がんが多くあること、そして大腸がん検診は大腸がん死亡率を下げる効果があると報告しています。



大腸がん検診で陽性の時は?

 現在、大腸がん検診で一般的に用いられているのが「便潜血反応検査 2日法」です。一般的には「便ヘモ検査」とも言われ、便に付着した微量の血液を検出する検査方法で、自宅で採取し提出するだけの簡単な検査です。

 図2のようにこの検診で(+)陽性反応と出る割合は6−7%であり、大半の方は(−)陰性の結果となっています。しかし、この陰性の結果だった方からも、0.1−0.2%の割合で大腸がんが見つかっています。万能な検査ではないことも知っておく必要があります。

 陽性反応が出た場合、大腸内視鏡検査や注腸バリウム検査で直接大腸を観察する検査を必ず実施しましょう。大腸がんが2−4%の方に、そしてポリープも30−50%の方に発見されます。


現在、CTを用いて内視鏡のように腸を観察できる検査方法も開発されていますが、実用化はまだ先になります。








大腸がんの予防は?
 2003年にWHOが大腸がんのリスクとライフスタイルについて報告しています。これによると、大腸がんの予防には運動をはじめとした身体活動が有効であり、肥満は大敵となります。

ライフスタイルと大腸がんのリスク
リスクを減らす
リスクを増やす
確実
身体活動
過体重・肥満
ほぼ確実
果物・野菜
貯蔵肉(ハムやソーセージなど)
可能性あり、証拠不十分
食物繊維・大豆・魚など
動物性脂肪

 
まとめとして、大腸がんはまれな病気ではなく増加している。早期発見・早期治療が何よりも大切であり、便潜血反応検査を用いた大腸がん検診を年に一度受けることが大切です。