高齢者とくすり

北見病院薬剤科
主任 上牧弘幸

なぜ高齢者に副作用がでやすいのか?

1つ目に、飲んだ薬を外に出す働きのある「腎臓」や「肝臓」の働きが加齢とともに衰えるため、外に出すスピードが遅れ体内に薬がたまりやすくなるということが知られています。

それに加えて体の水分が減り脂肪の割合が多くなるため、薬が一層外に出にくくなります。そうなると薬が効果のある適量を超え、副作用が出やすくなります。

フルニトラゼパムという薬(当院ではロヒプノール 睡眠薬)は、高齢者になると体外に出すのに通常の3〜4倍も時間がかかってしまい、めまいや転倒を起こしやすく危険といわれています。

2つ目は、薬の種類が増え飲む期間も長くなるということです。
複数の薬を一緒に使うと、薬同士がなにかしらの影響をしあう「相互作用」が起こることがあります。
それは、薬の効果を強めてしまったり、逆に効かなくしてしまったり、また別の作用を起こしてしまったりと、組み合わせによって異なります。

当然、薬を処方、調剤する場面では、相互作用を避けるよう考えて薬を選んでいますが、種類が増えると相互作用は起こりやすくなります。

また、複数の薬を使うことで、腎臓や肝臓という薬の出口が渋滞して薬が体に残ってしまうのと、長い間薬を使うことで腎臓や肝臓に負担がかかり、なおさらその働きが弱ってしまうことも考えられます。

こんな症状がでたら薬にも注目


「なんかめまいがするし、食欲もないわ〜、また病院にいって薬をだしてもらおうかな」
こんな体験をされた方もいらっしゃるでしょう。

もしかしたら、それは薬の副作用かもしれません。高齢者に良くみられる症状は、実は副作用でも良く見られる症状なのです。

こんな症状のある方、次のような薬はのんでいませんか?
@めまい、ふらつき
睡眠導入剤、安定剤、肩こりの薬、アレルギーの薬、血圧の薬など

A口が渇く、便秘
安定剤、抗うつ薬、睡眠薬、咳止め、利尿剤など

B眠れない
気管支拡張剤、偏頭痛の薬、ステロイドなど

C胃がむかむかする
痛み止め(坐薬を含む)、ステロイド、気管支拡張剤
これらは代表的な副作用の一部で、他にもいろいろ考えられます。

自己調整はしないで相談を


今回の記事を読んで、「くすりって怖い」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
それは正解です。薬は毒にもなります。しかし副作用は「必ず起こる」のではなく「起こる可能性がある」ものです。副作用が起こらない方が多いのです。

副作用をおそれて薬を飲まずに、病気を悪くしてしまってはなんにもなりません。
もし、気になる症状がある場合には自分で薬を調節しないで、医師・薬剤師に相談するようにしましょう。