慢性疾患(成人病)の基礎知識 

北見病院総院長
中井秀紀


今回は慢性疾患の中でも、皆さんにおなじみの成人病(最近は生活習慣病)にいて、その予防と治療の前提となる基礎知識についてお話しさせていただきます。

ここで対象とする病気は、高血圧症、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、慢性腎疾患、肥満症、メタボリック症候群、そして各種ガンです。

静かに忍び寄る殺人者

成人病と言われるこれら多くの病気はいわゆる「サイレントキラー」=「静かに忍び寄る殺人者」といわれるもので、よほど重症にならなければ、自覚症状は表れません。
せいぜい、糖尿病での「口の渇き(水分がほしくなる)」や身体がだるいなどの「倦怠感(けんたいかん)」や、高血圧症に一部に現れる「肩こり」「頭痛」程度です。

毎日のチェック 
その1 体重測定
自宅でできる病気の予防と管理の第1の方法は、体重測定です。
できれば腹囲の測定もお勧めです。
摂取カロリーが多いか、運動や仕事で使う消費カロリーが少ないか、そのバランスで体重は変化しますし、浮腫(むくみ)でも体重は増加します。
心臓病や腎臓疾患では、浮腫(むくみ)の程度が病気の良しあしの目安にもなります。

毎日だいたい同じ時刻に測定することが望ましく、生活習慣病と診断・治療を受けている人はもちろん、正常だと思っている方にもお勧めします。
また、メタボリック症候群(通称=メタボ)の診断基準でもある腹囲(へそ周り)も自分で簡単に測定でき、健康チェックとして利用できます。
糖尿病が悪化しすぎると、体重が減少してきます。
ダイエットが成功したと勘違いしないように注意してください。

毎日のチェック
その2 血圧測定
第2の方法は、血圧の自己測定です。
起床時から30分以内と就寝前の2回測定が理想です。
使用する血圧計は、市販の上腕用が基準です。
病院ではうかがい知ることのできない時間に血圧が上昇する「仮面高血圧」のなかでも、起床時前後に上昇する「早朝高血圧症」の診断には自宅での血圧測定が欠かせません。
40歳を過ぎたら血圧計の購入を検討してください。
血圧測定表は当院でも無料で配布しておりますので、利用してください。

 今回は自宅でできる健康管理について紹介しました。ご自分の身体と向き合って、出来るところからやってみてください。
次回は病院での検査についてお話します。

皆さんにおなじみの成人病(最近は生活習慣病=高血圧症・糖尿病など)の、予防と治療の前提となる基礎知識についてお話ししています。

前回は、成人病といわれる多くの病気は自覚症状が現れにくく「静かに忍び寄る殺人者」といわれていること、そして自宅でできる予防と管理として毎日の体重測定と血圧測定を紹介しました。
今回は、病院で行なう検査について紹介します。


定期検査のおすすめ

必要不可欠の検査+全身のチェック
それぞれの病気に不可欠な検査、糖尿病なら血糖・ヘモグロビンA1cをはじめとした血液検査と尿検査、脂質異常症(高脂血症など)でしたら各種コレステロール・中性脂肪など、定期的に測定し病気のコントロール状態を正確に把握し、必要に応じて薬の変更や生活指導・栄養指導をおこないます。

それ以外にも身体全体の状態を把握するために、胸部レントゲンや心電図、健診で行う程度の血液・尿検査などは定期的に受けることをおすすめします。

動脈硬化の状態を知るために
高血圧(全国2,000万人)、糖尿病(890万人予備軍合わせて2,000万人)、脂質異常症の3つは動脈硬化性疾患(脳血管障害、虚血性心疾患、腎硬化症など)の重要な危険因子です。
これらの疾患を良好にコントロールすることは、死亡あるいは障害を予防することになり「2次〜3次予防医学」と位置づけられています。
動脈硬化の状態を知りうる検査には、頸動脈エコー、PWV/ABI(動脈硬化測定=血管年齢判定)、CTやMRIでの血管造影があります。
当院で施行している検査は、頸動脈エコーとPWV/ABIとCTです、簡単で苦痛はありませんのでぜひお受けください。

がんの早期発見のために
日本の死因統計では悪性新生物(がん)30.5万人、脳血管障害13万人、虚血性心疾患7.2万人で、この3疾患で1年間に50万人が死亡しています。そのなかでも悪性新生物が増加しています。

しかし、がんも早期発見・早期治療で死に至ることなく日常生活できる時代になっています。
私たちの病院単独で早期発見に発見できるがんは限られていますが、専門病院との連携でかなりのがんを診断することが可能です。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)、エコー検査、胸部レントゲン、各臓器のCTはもちろん、全身管理のための血液や尿検査年に一度はがん検診を
胃カメラ 胃がん・食道がん
大腸カメラ 直腸・結腸(大腸)がん
腹部エコー検査 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓がん発見に有効
胸部レントゲン 肺がん
CT検査 肺・肝臓・膵臓・腎臓などのがん発見に威力発揮
血液検査 PSAは前立腺がん発見に有力
、そして大腸がん検診の「便潜血反応検査」もがん発見のための有力な情報をもたらしてくれます。
血液検査で測定する腫瘍マーカーもおすすめです。
先日のNHK「ためしてガッテン」では急速に増え続ける前立腺がんを取り上げ、PSA(前立腺特異抗原)が前立腺がんの診断に有力であることを紹介していました。

当院ではできませんが、増加の一途をたどっている女性のがん、乳がん・子宮がんは、検診で早期発見できますから、外科あるいは婦人科での定期的な検診をおすすめします。

 2回にわたって、慢性疾患の予防と治療のために必要な基礎知識を紹介しました。
生活習慣病といわれるように、日常生活の中で病気を予防すること、そして定期的な検査でコントロールし上手にお付き合いすることが大切です。
特定健診がはじまりました。自分の身体を見つめ直す良い機会ですので、必ず受けるようにしましょう。


年に一度はがん検診を
胃カメラ 胃がん・食道がん
大腸カメラ 直腸・結腸(大腸)がん
腹部エコー検査 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓がん発見に有効
胸部レントゲン 肺がん
CT検査 肺・肝臓・膵臓・腎臓などのがん発見に威力発揮
血液検査 PSAは前立腺がん発見に有力