認知症と薬

薬剤科科長 上牧弘幸


         
認知症はありふれた病気に
日本では急激な高齢化が進み、「認知症」はありふれた疾患になりつつあります。
認知症の患者数は現在250万人ほどとされており、予防法や根本的治療法がない現状では増加することが予想されます。

高齢者と薬
高齢者は認知症を発症する以前から「持病」に対する薬を服用していることが多く、薬の管理が問題になることが少なくありません。
インスリンを自己注射している場合などは特に問題となります。
内服薬については、医師や薬剤師に相談すると本人や介護者の負担が軽くなる場合があります。
最も有効なのは、内服の回数を減らすことです。
毎食後、毎食前、起床時、寝る前など、場合によっては1日に8回も9回も薬を飲まなければならない方もいます。
それを忘れずに内服するのは、若い人でも難しいでしょう。
近年は1日1回でよい薬も増えていますので、くすりを見直すことで内服回数を減らすことができるかもしれません。

認知症の薬
今まで日本では、認知症に使用できる薬は1種類しかありませんでした。
『効果は目に見えて現れることは少ないが、副作用はあります。効果がなくても続けて下さい』と発売メーカーは宣伝し続け、発売から11年経った今でも1錠400円を超える高い薬です。
効果がはっきりしないため、積極的には使用していないのが当院の実情です。
しかし、日本中の期待は大きく、今年中に第2,第3の薬がやっと発売される予定です。
価格の低下や選択の幅が拡がる可能性があります。
日本人での治療効果や副作用についてしっかり注目して慎重に使用していきます。

やはり早期発見
認知症は、外来の診療場面だけではなかなか気づくことが出来ません。
患者さんは病院ではよそ行きの顔ですから、いつもそばにいる家族の方々からの情報が大切です。
早期に診断がつくことで、前出の薬もアルツハイマー型の早期であれば、ある程度の効果は期待できるものと考えます。
また、介護保険などの社会資源も有効に利用できることもあります。
気になることがあれば受診時に気軽に相談してください。