放射線被ばくと健康被害


診療技術科主任 野原祐樹(診療放射線技師)


被ばくとは

放射線を体に浴びることを被ばくといいます。
被ばくには「外部被ばく」と「内部被ばく」があります。
外部被ばくは、放射線を体の外から浴びることで、例えば地面に落ちた放射性物質から放射線を浴びることなどです。
内部被ばくは、体の中に取り込まれた放射性物質から放射線を浴びることで、空気中の放射性物質を吸い込んだり、放射性物質に汚染された食物を食べてしまったときなどに起こります。

被ばくを少なくするために

被ばくを少なくするには、
@放射線を出している物質から離れる(距離)
A時間を短くするB物でさえぎることが基本です。
外部被ばくは、放射線が出ている場所がわかればこれらの措置が可能ですが、内部被ばくは、体内に取り込まないことが肝腎です。

放射線の影響

放射線は、ヒトの細胞の核にある染色体(DNAの集合体)を傷つけますが、ほとんどは修復され正常化します。
しかし、一度にたくさんの放射線を浴びたときなど上手く修復されず細胞死(細胞が壊れること)やがん細胞に変化することがあり、健康被害の原因になります。
放射線の感受性(影響を受ける程度)は臓器や年齢によって違いがあります。
子供の被ばくが大問題となっている一因は、放射線の感受性が大人より高いからです。
また、『低線量の長期被ばく』は、はっきりとした影響がわかっていません。

被ばくの影響

被ばくによる病気などの発生の仕方は、2つあります。
ひとつは、ある程度高い放射線量を浴びると誰にも同じような障害が生じる「確定的影響」です。
図の『しきい値』というのは、その影響がでる最小線量を示します。
しきい値の線量以下では影響はなく、それを超えると、線量の増加とともに発生率と重症度も増します。
代表的なものに、皮膚の発赤や脱毛の発生があります。
もうひとつが「確率的影響」で、がん・白血病・遺伝的影響です。
確率的影響はどんなに低線量でも影響がでる可能性があり、線量の増加により発生率も増加します。
前述のように、低線量(100mSV以下)の影響は不明ですが、どんなに少ない被ばくでも、がん発症の確率はゼロではないので、無用な被ばくは避けるべきです。

原発事故による無用な被ばく

今回の原発事故では、多くの人たちが、本来しなくていい無用な被ばくをしました。
今後の健康被害が心配されます。
不安を抱えながら生活する方も多く、1日も早い原発事故の収束と健康管理の政策が望まれます。

必要な検査は恐れずに 

今のところ北海道民は、今回の原発事故での直接の被ばくはしていません。
それでも日常的に多少なりとも放射線を浴びています。
病院では、レントゲンやCTなどで放射線が使われています。
このような検査は、被ばくのリスクなども考慮し患者さんにとって有益と判断した場合に実施されます。
被ばくを恐れるあまり必要な検査を受けないということにならないよう、気になることがあれば放射線技師に気軽にお尋ねください。
放射線に限らず検査を受けるときは、患者さん自身の納得と理解が大切ですので十分な説明を受けてください。