心当たりありませんか?
アスベスト・石綿



北見病院診療技術科
技師長 黒澤久司

静かな時限爆弾

 アスベストは石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれる天然の鉱物繊維で、熱や薬品、摩耗にも強く、そして安いことから「奇跡の鉱物」と呼ばれ、日常生活のいろいろな場面で使われてきました。
アルコールランプでお湯を沸かす理科の実験で使用した金網の中央にもアスベストが使われていましたから、一度は見たことがあると思います。
 便利なアスベストですが、肺に吸い込むと20年から50年後にがんになる恐れがあることから、先進国では1980年以降相次いで使用が禁止されてきました。
しかし日本政府の対応は遅れ、2006年にようやく全面禁止の措置がとられました。
 使用禁止となった現在でも、さまざまなところにアスベストが存在しており、吸い込む危険性が少なからずあります。
特に建物や船舶には大量のアスベストが使われていますので、解体作業時に吸い込む危険性が高く問題となっています。
震災後のがれき撤去でもたくさんのアスベストが飛散し、作業にあたった方の健康管理が必要といわれています。

肺がんと悪性中皮腫の原因に
 
アスベスト被害の危険がある作業(代表的なもの)
● 石綿製品の製造・加工、吹きつけ作業
● 建設業・解体業
● 鉄道・船舶・車体の製造・補修・解体
● 発電所・変電所・その他電気設備関係
● 鉄工所・鉄鋼製品製造
● 配管・断熱・ボイラー・築炉関連作業
● 吹きつけ石綿のある建物での作業

アスベストによって起こるがんとしてはっきりしているのは、肺がんと悪性中皮腫です。
肺がんはアスベストの他、タバコなどさまざまな原因で発生しますが、肺をおおっている薄い胸膜(昔は肋膜と言われていました)や腸の周りの腹膜にできるがん=悪性中皮腫は、アスベストが原因と考えられています。
また、ある程度以上のアスベストを吸い込んだ場合には、じん肺の一種であるアスベスト肺(石綿肺)や、胸膜の肥厚(胸膜プラーク)が起こり、アスベスト吸引の証拠となります。
しかし、これらの病気は、アスベストを吸い込んでから発病するまでに非常に長い期間がかかることから、病気の原因とアスベストとの関連がつかみにくいのが現状です。
 大切なのは、アスベスト吸引を把握することと、定期的な検診で肺がんや悪性中皮腫を早期に発見することです。
思い当たる方は、ご相談ください。

専門家に相談を

 アスベスト関連疾患は労働災害であり、健康管理制度の活用や労災補償の対象となる場合があります。
北見病院も加盟している民医連では、全国的にアスベストの健康被害の問題に積極的に取り組んでおり、今回6月に専門の医師や弁護士によるアスベスト被害相談会を北見で開催することになりました。
無料の相談会ですので、心当たりのある方はお気軽にご利用ください。