ピロリ菌の除菌療法

北見病院診療部長
草間 敬司


今年の2月から、慢性胃炎に対するピロリ菌の除菌療法が保険診療でできるようになりました。その意味について説明していきます。

ピロリ菌で胃がん発生?

なぜ胃がんができるのか?さまざまな要因があげられますが、ここ十数年の研究で、ピロリ菌感染が大半の胃がんの発生に強く関わっていることがはっきりしてきました。

ひとつのメカニズムは、ピロリ菌が胃の粘膜に感染するとそこに炎症をおこし、それが長期間続くと胃粘膜が荒廃した萎縮性胃炎という状態に進行し、さらに腸上皮化生とよばれる胃がんを引き起こしやすい胃粘膜の状況に変化していくという考え方です。

原因となるピロリ菌を除菌してとりのぞくことにより、胃がんの発生を大きく減らせることがいま期待されています。



ピロリ菌の検査と除菌療法

日本人のピロリ菌の感染率は年代が増すとともに上昇します。

20代の若年層では30%以下、年齢がすすむと次第に上昇して60代以上では50%以上にもなります。

ピロリ菌感染の仕組みはまだ十分解明されていませんが、5歳以下の幼少期に口から感染するといわれています。

上下水道などの衛生環境がその人の幼少期にどうだったか等もピロリ菌の感染の有無に関係しているようです。

まず胃内視鏡検査で胃炎を確認し、胃炎があった場合はピロリ菌の検査をおこない、ピロリ菌がいれば除菌治療を受けることで胃がんの発生リスクを低くすることができます。

抗生物質を含む3種類の薬を1週間飲むことで約8割の人で除菌治療は成功します。



一次予防と二次予防で胃がん死を減らそう

ここで注意しなければいけないのは、ピロリ除菌による胃がんの予防効果は100%ではないことです。

若年者ほど予防効果は高いのですが60代以降ではピロリ菌除菌による胃がん発生抑制率は50%以下ともいわれています。

ですから特に若年者以外では除菌治療とともに、これまで通りの定期的な胃がん検診が大変重要です。

胃がんの予防は一次予防と二次予防に分けられます。

一次予防は胃がんの原因をとりのぞいて発生を防止すること。それがピロリ菌の除菌療法にあたります。

二次予防は早期に胃がんを発見して胃がんで亡くなる人を減らす試みです。

これが胃がん検診にあたり、日本では診断精度の高さと治療技術の進歩により、これまでも大きな成果をあげています。

この一次予防と二次予防の組み合わせによって胃がんで亡くなる人を大幅に減らせるのではないかと期待されています。

北見病院でも、検査・治療を実施していますので、お気軽にご相談ください。

ピロリ感染症の検査・治療が健康保険でできる方

@ 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者

A 胃MALTリンパ腫の患者

B 特発性血小板減少性紫斑病の患者

C 早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者

D 内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者(*今回追加されました)

上記の内、ヘリコバクター・ピロリ感染症を疑う場合に検査を実施でき、検査で感染が判明した場合治療を行えます。