高齢者の介護と虐待防止

オホーツク勤医協 
介護部長 鈴木 英紀 

「高齢者虐待」という言葉をテレビなどで耳にすることがあります。
虐待という言葉から「悪意を持ったもの」を連想される方も多いのではないでしょうか。
中には金銭を勝手に搾取するなどの「経済的虐待」といわれる行為もあります。
しかし実際は,24時間いつ終わるかわからない家族介護を続けていく環境のなかで、認知症状の進行や介護負担が増えてしまい、つい手をあげてしまう、つい声を荒げてしまう等「どこにでも起こり得ること」から始まるものが多いようです。


高齢者虐待防止法とは
高齢者虐待防止法の目的は虐待を取り締まり罰することではなく、高齢になっても自分らしく暮らしていくための尊厳を保持すること、そしてその介護者の負担を軽減し支援することとされています。つまり介護にかかわるすべての人を支援し、そのための指導や助言をするための役割を国が定めたものです。

介護者のストレス要因を考えてみましょう
介護者の体力低下…高齢化や核家族化により介護者自身の体力が低下しています
心理的な負担…認知症状や介護度の悪化によりコミュニケーションが上手にとれなくなります
家庭環境…閉塞的な家庭環境、経済力の低下、これまで築かれていた家庭内の力関係もストレスの隠れた要因になります
慣れない介助…いままで経験のなかった食事や排泄の介助、夜中に何度も起されることもあります

一人で抱え込まないで
1、 自分の時間をつくりましょう
時には息抜き・手抜きが必要です。介護サービスを上手に利用しながら自分の時間をつくりましょう。
ショートステイは介護者の夜間の睡眠時間を確保することができますし、デイサービスは昼の時間を活用するためには有効です。
担当のケアマネジャーにご相談ください。

2、 介護の専門家に相談しましょう
介助者の姿勢、食事に便利な補助具等、いろいろなコツや手段があります。
例えばデイサービスの送迎の時にでも気軽にスタッフに声をかけ、相談しましょう。

3、 認知症状への理解も大切です
認知症によるさまざまな行動(徘徊や暴言等)も接し方を変えるだけでお互いが楽になることがあります。
自治体や地域包括支援センター等が開催する「認知症サポーター養成講座(無料)」等へ参加することで理解を深めることができます。

4、地域での取り組みを活用しましょう
地域での支えあい活動も始まっています。
高齢者や要介護者を抱えるご家族が、困ったときに駆け込める場として北見市新生町に拠点を置く「北見高齢者110番の家(地域食堂 きたほっと)」(*1)が2年前からオープンしています。「北見認知症の人と家族の会」(*2)では介護者同士が悩みや体験を語り合う場を提供しています。
また、認知症による徘徊などで外に出たまま行方不明になる事があります。
地域全体で捜索・支援をするSOSネットワーク(*3)がありますので活用しましょう。

相談や報告について
それでも高齢者虐待は発生します。
介護者が気づかないうちに虐待行為に至ったり、実際に虐待を受けていても認知症などの病気で自ら発信できない事もあります。
支援が遅くなると、大きな事故にもつながりかねません。
そのために法律には発見した際の報告が義務付けられています。
相談・報告の窓口は身近な市町村や地域包括支援センターが連携をとりながら担っています。

 今、実際に介護をされている方には大変な毎日を過ごされている方も多いと思います。
虐待は誰にでも起こり得ることです。「疲れたな…」と感じたときはお気軽にご連絡ください。


(*1)拠点新生町 高齢者110番の家 地域食堂 きたほっと 
連絡先 0157-33-5671(エーデルワイス5号館 樋口 様)

(*2)北見認知症の人と家族の会 連絡先 090-6472-3445(同会会長 芳賀 様)
                     0157-23-5465(同会事務局長 斉藤 様)

(*3)SOSネットワーク 連絡先 0157-25-1144(北見市介護福祉課)

    網走市、美幌町、津別町等でも行なっています。各自治体にお問い合わせください。
 その他介護全般のご相談  居宅介護支援事業所勤医協 0157-26-0020