「認知症の方との接し方について」

勤医協デイサービスたんぽぽ
施設長 門脇 広


全国の認知症高齢者の人数は2010年の約208万人から2030年には約353万人にも増えると推計され、誰にとっても身近な問題になっています。

認知症は症状をうまく緩和することがで、長期にわたってその人らしい生活を続けることができます。
そのためには認知症の方への接し方が重要な役割をもっています。

○基本は「信頼関係」を築くこと

 認知症を患うと、以前よりも物事を上手く行うことが難しくなってきます。
しかし認知症の初期では、その事を本人は理解しています。
 「以前の様に上手くできない」と感じていますが、「それを言い出すのは恥ずかしい」「これは年だからしょうがない」「家族の手を煩わせるのではないか」などと考えています。
ですが、心のどこかでは「助けて欲しい」と思っており、さりげない気遣いや手助けを望んでいます。
本当は助けて欲しいけど言い出せないジレンマの中で、家族など身近な人に失敗などを怒られることが続けば、不安感や恐怖感などから強いストレスがかかり、精神的に不安になります。
そうなると、すぐ怒ったり、夜に落ち着かなくなったり、幻覚・幻聴や妄想などの出現にも繋がってしまいます。
本人が安心して落ち着ける場、雰囲気作りを行いストレスをかけないよう心がけるだけで、認知症症状や問題行動などを和らげることができます。


○よい感情を残すようにする

認知症が進行すると、最近の出来事を思い出すことも難しくなってしまいます。
そのためにさっき質問したことを忘れて、同じ質問を繰り返すために、家族や周囲の人をイライラさせてしまう場面も出てきてしまいます。
ですが本人は何度も同じ質問をしているという自覚はないので、どうして家族がイライラしていたり、怒ったりするのかが理解できず、「怒鳴られた・怒られた」という感情だけが残ります。
「あの人は怖い人・すぐ怒る人、だから嫌い」と、その時感じた感情は心に長く残っています。

家族や周囲の人にとって大切なことは「忘れてしまうのは、病気である」ということを理解して、本人の気持ちに寄り添った対応を心がけることが必要です。
「正しいこと・失敗しないこと」というよりも、「どうしたら円滑・円満に事が運ぶか」を優先して対応することが基本です。


○介護は頑張りすぎないこと

 介護する側にも休息が必要です。
 介護をするご家族の方の心にゆとりがあり、笑顔で生活できることが認知症本人の安心にも繋がります。
「大変だな」「疲れたな」と感じた時は、頑張りすぎず介護保険や介護サービス、相談窓口の利用を考えてみてはいかがでしょうか。