健康寿命と骨粗しょう症

北見病院薬剤
科長 上牧弘幸


「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

介護など人の手を借りずに日常生活を送ることができる期間のことです。
人の寿命は約80年、そのうち健康でいられるのは平均73年とされ、男性よりも女性のほうが寿命と健康寿命の差が大きいと報告されています。

寝たきりや介護が必要な状態になるきっかけとして、認知症や脳血管障害などいくつかの原因がありますが、一番多いのが骨折や膝、腰などの障害によるものです。
体力の衰えとともに動きが悪くなり、動かないことでさらに筋肉などが落ちてしまう悪循環に陥ってしまいがちです。
その結果ふらつくようになり、何かのタイミングで転倒し骨折してしまうこともあります。
そして、この状態は骨粗しょう症と大きく関係しているのです。

骨は毎日、少しずつですが'壊して造って'を繰り返しています
通常、壊す量と造る量のバランスがとれているのですが、なんらかの原因によりバランスが「壊す」側に傾いてしまうと、徐々に骨の量が減って行きます。
その結果、骨がスカスカになって折れやすくなってしまった状態が骨粗しょう症です。
背骨などは潰れてしまうこともあります。
加齢とともに腰が曲がったり背が低くなったりするのも骨粗しょう症による腰椎の圧迫骨折が関わっています。
腰痛の原因になるだけでなく、逆流性食道炎や心肺機能の低下にも繋がっていきます。
骨を壊す側にバランスが傾く原因としてはっきりしているのは女性ホルモンの減少で、閉経後の女性が骨粗しょう症になりやすいことはご存知の方も多いでしょう。
他にもビタミンD、カルシウム、などの栄養、運動不足などが骨量の低下に影響しますし、ステロイドや他の疾患による場合もあります。

骨粗しょう症を予防するには、食事、運動そして日光に当たることです

紫外線を浴びることにより皮膚でビタミンDが作られます。
食事ではカルシウムやビタミンD、K、たんぱく質などをとり、加工食品、塩分、カフェイン、アルコールなどを避けるほうがよいといわれています。
残念ながら骨粗しょう症だけでは栄養指導を受けることができませんが、糖尿病や腎臓病、脂質異常などの話と一緒に聞くことができます。
加齢や遺伝などの要素はなくすことができないので、気をつけていても骨粗しょう症になってしまうこともあります。
そうすると薬の出番になります。
活性化されたビタミンD、骨の「壊す量」を抑える、「造る量」を増やす、女性ホルモンの代わりをする、など薬も様々な種類があり、新しくなってきています。
新しい薬は骨折を予防する効果が高くなっただけではなく、月に1回や半年に1回など治療にかかる手間を減らしてくれる工夫がされています。
治療の効果を見るための検査も血液で行うことができ、治療中は副作用予防のためにも半年に1回程度の検査をお勧めしています。

長い冬が終わり、ようやく雪も解けて花も咲いてきました。
外にでて散歩をするのは気分も高まり、いろんな面から健康を保ってくれます。
骨粗しょう症を予防し健康寿命を延ばすために屋内で過ごすことが多い方も外に出る機会をつくってみませんか。