誤えん性肺炎予防と口腔(こうくう)ケア

北見病院リハビリ科 
言語聴覚士 杉本有喜

今回は、健康まつりで講演させていただいた、「いつまでもおいしく食べ続けられるように 誤えん予防の話」の内容の一部を紹介します。

厚生労働省の人口動態統計による死因別死亡数をご存知でしょうか。
1位は悪性新生物(がん)、2位は心疾患、3位は2010年までは脳血管疾患でしたが、2011年からは肺炎です。
90歳以上では肺炎は2位まで順位があがります。
また、肺炎で亡くなる方の9割以上が75歳以上の高齢者、その高齢者のうち70%以上が誤えんに関係していると言われています。

【誤えん性肺炎】
誤えん性肺炎の原因は、食べ物や飲み物を誤えん(気管に入ること)することによって起こるだけではありません。
実は、眠っている間にだ液(つば)を誤えんすることにより起こることもあるのです。
若くて健康な人でも、眠っている間にだ液を誤えんしていると言われています。
汚れている口の中には約800種類、汚れているだ液1mlの中に10億個の細菌が存在し、感染を成立させるには1000個の細菌があれば十分と言われています。
細菌が多いだ液を誤えんすると高い確率で肺炎を起こしてしまいます。
また、肺炎を起こしてしまうと食欲もなくなります。食事量が減ることでえん下(飲み込む)回数も減り、えん下に必要な筋肉の力が弱くなってしまいます。
力が弱くなってしまってからでは回復までに多くの時間や体力を必要とします。



【口腔(こうくう)ケア】
誤えん性肺炎を予防するためには、お口をきれいに保つことが大切です。では、どのようにお口をきれいにしたら良いでしょうか。

・歯磨きをしっかり行いましょう。
歯磨きやうがいが出来る方は、毎食後と就寝前に歯ブラシと歯磨き粉でしっかりと歯磨きを行いましょう。また、ブクブクうがいも大切です。

・お口の粘膜のケアを積極的にしましょう。
ドラッグストアなどで購入できる舌ブラシやスポンジブラシなどを使って、舌やほほの内側、上あご(お口の天井)などを軽く磨きます。毎食後と就寝前に行いましょう。

・虫歯の菌も肺炎をおこす菌です。
虫歯の治療もしっかりとしましょう。

・お口が潤っている状態を保ちましょう。
お口の中が乾燥していては細菌が繁殖してしまうばかりではなく、うまく飲み込むことができません。
だ液が出づらく乾燥しやすい場合は、お口専用の保湿ジェルやマウスウォッシュ液(洗口液)などを使用するのも良いです。こちらもドラッグストアなどで購入できます。
保湿ジェルは、味や粘度も様々です。色々試してみて、好みに合ったものを見つけてみてください。マウスウォッシュ液は、アルコールが入っていると乾燥を助長させてしまいます。アルコールが入っていないものを選びましょう。

今回は、誤えん性肺炎と口腔ケアについてお話しました。
飲み込む力を保ち、肺炎や細菌に負けないためのからだ作りも大切です。
日ごろから運動をし、お口を清潔に保ち、いつまでもおいしく食べられるようにしましょう。