放射線技師 野原 祐樹

■ 胃バリウム検査のはなし ■
胃バリウム検査は、会社の健診や住民健診などで、一度は経験したことがある検査ではないでしょうか。今回のなんでも健康相談室は「胃バリウム検査」について北見病院の野原祐樹放射線技師に健診の大切さと検査方法についてお話しをしていただきました。

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 日本人のガンの中で、一番多いのが胃癌です。数年前までは、癌死する方の割合では胃癌が男女ともにトップでしたが、現在男性については肺癌が一番となっています。それは胃癌が減少したのではなく、胃癌の治療成績が向上したためといわれています。胃癌は早く見つければ十分「治せる病気」なのです。

 胃がんを早期に発見するには、なによりも胃の検査を受けることが大切であり、その検査のひとつに「胃バリウム検査」があります。

 このバリウム検査は、胃癌だけでなく、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、食道のガンや胃に続く十二指腸の潰瘍などもわかります。

早期胃癌の50%は無症状
 胃癌は、ガン組織の進行度が粘膜または粘膜下層までに限局しているものを「早期胃癌」。
 その下にある筋層以上まで深く進行しているものを「進行胃癌」と大きく二つに分けられます。
 この二つの間における治療の成績には大きな差があり、なんと言っても早期に発見するに限ります。

 胃癌の症状ですが、早期胃癌では50%以上、進行癌でも10%は無症状です。比較的多い症状として心窩部痛、胃部膨満感、食欲不振、胃部重圧感、胸やけなどが上げられます。

 このように胃癌は決め手となる症状はありませんので、定期的な検査が重要となります。

様々な撮影方法
 胃のバリウム検査と聞いて、大変な検査と思う方が多いと思いますが、昔に比べてバリウムも飲みやすく改良され、検査精度も向上しました。
 また、苦痛が少ないのもバリウム検査の特徴といえます。

 胃のバリウム検査はバリウムを飲んでレントゲン写真を撮るだけなのですが、色々な撮影法があります。簡単に紹介したいと思います。

・充満法 バリウムを飲み胃の自然な形態(変形)や胃の位置に異常が無いかを見ます。
・二重造影法 空気で胃を十分に膨らませバリウムを胃の壁に塗りつけて、胃の細かい粘膜を写し出す方法です。胃の壁にバリウムが十分に付着するように検査を受ける方は、レントゲンの台の上で仰向け、うつ伏せなど体を動かす必要があります。
・圧迫法 部分的に圧迫を加え撮影する方法です。この撮影により、胃壁の凸凹を写しだすことが出来、特に癌の発生が多いところを中心に撮影します。

 検査前の注意事項は、検査の前日の夕食を軽めの食事にし、午後九時以降は検査が終了するまで飲んだり食べたりしないようにすることです。胃の中に食べ物が残っていると、確実な検査が出来ませんので、十分な注意が必要です。
 また、お薬を服用している方は、事前に主治医に相談するようにしましょう。
 
飲むバリウムは150ml程度でOK
 実際の検査は、まず検査着に着替え、胃の動きを止める注射(筋肉注射)を一本打ちます(注射をしない場合もあります)。
 その後、胃の中でガスを発生させ胃を膨らませる粉薬(発泡剤)を少量の水で飲んでもらいます。
 発泡剤を飲むとゲップをしたくなりますが、この胃の中のガスが二重造影法を撮影するときに重要になるので、検査中はゲップを我慢するようにしてください。
 
 いよいよ検査開始。まず、バリウムを飲んでもらいます。
 飲む量は150ml程度とコップ一杯(200ml)より少ないので、そんなに多く飲む必要はありません。
 飲みやすいように改良されてきていますが、それでも飲みづらい人はゴクゴクと一気に飲むようにしてください。あまり味わわないのがコツです。

 バリウムを飲み終えた後は、充満法、二重造影法、圧迫法を用いて色々な方向から胃のレントゲン写真を撮っていきます。
 検査時間は五〜六分間です。
 比較的短い時間で検査は終わりますし、動いてもらうときはその都度指示を出しますので安心して検査を受けてください。

 検査後は、バリウムを飲んで便秘しやすくなっています。下剤を渡しますので服用し、水分を十分摂って便秘に注意してください。
 
年に一度は胃の検査を
 今回は、胃のバリウム検査についてお話しましたが、胃の検査にはこの他に内視鏡検査もあります。どちらの検査にするかは、医師と良く相談してください。

 胃癌を早期に見つけること、そして胃が健康であることを知るためにも、一年に一度胃の検査をけることをお勧めします。