放射線科 主任 黒澤 久司


■ 大腸の検査について その1 ■
  

食道や胃、大腸など消化器系のがんの中では、まだ胃がんが一番多いですが、最近は大腸がんが急増しています。胃がんは年々減っていますから、大腸がんが患者数でも死亡者数でも胃がんを追い抜くのは時間の問題といわれています。その原因のひとつには、食生活の欧米化があるといわれています。現に欧米では以前から、胃がんが少なく大腸がんが多い傾向にあります。
 今回は、大腸がんを早期に発見するための検査についてお話をします。


▼ 70%はS状結腸・直腸に発生
大腸は、長さ約1.5メートルあり、小腸で消化・吸収された残り物から水分を吸収し便をつくる働きをしています。
小腸とは右の下腹の盲腸がある部分でつながり、順に上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸とお腹を一周し肛門へとつながっています。(図参照)

大腸がんが一番多いのはS状結腸。次が先端部の直腸で、この二つで大腸がん全体の約70%を占めています。さらに上行結腸、横行結腸、下行結腸と続き、一番奥の盲腸では6%くらいの発生率となっています。
 




大腸がんの症状は
 大腸がんの症状として特徴的なのは、便に血が混じることです。しかし、大量の出血というのはまれで、便に血が混じっているが、見ただけでは判らない潜血という状態がほとんどです。
また、出血があり便や排便後に肛門をふき取った紙に血が付いていても、痔と勝手に思い込んで手遅れになるケースも少なくありません。
 
表1 こんな症状は要注意!

@ 便に血液が付いたり、混じったりしている。
A よく下痢や便秘になる。
B 排便をしても、まだ残っている感じがする(残便感)。
C 粘液や泥のような便がでて、トイレに何度も通ってしまう。
D 原因の判らない貧血がある。
E お腹にしこりがある。
F お腹が張る。
G 何となく下腹が痛い。

大腸がんも早期のものは他のがんと同様、ほとんど自覚症状が出ません。大腸がんが進行すると、便の通り道が狭くなりそのため便秘になったり、便が細くなったり、お腹が張るなどの症状が出てきます(表1)。そうなる前に見つけるには、定期的に健康診断を受けるしか方法はありません。



便(べん)潜血(せんけつ)反応(はんのう)検査(けんさ)
 便潜血反応検査は、もっとも手軽な大腸がん健診で、経験された方も多いと思います。検査容器についている細い棒を便にこすりつけ、便に血液が混じっているかどうかを判定する検査です。
 大変精度が高い検査で、ごく微量の血液でも検出できますから、進行がんの場合は、ほとんど潜血プラスと結果が出ています。

 ただ、早期がんの場合は、出血していることも少ないため便潜血反応検査での陽性率は半分程度になるといわれています。

 この検査は「大腸がん」そのものを検査するのではなく、便に混じった血液の有無を検査するため、たまたま出血がなかった場合や、便の採取方法が不十分であったりすると潜血マイナスの結果が出ます。ですから、一般的には2日続けて検査をし、精度を上げるようにしています。
便の採取の方法も、一ヶ所をチョンととるのではなく、便全体を突き刺したり、こすったりしてより広い範囲の情報を拾うことが大切になります。

潜血マイナスでも症状あれば検査を
そして注意しなければならない点として、便潜血反応検査がマイナスであったからといって「大腸がんの心配がない」ということではないということです。表1に示したような症状がある場合は、注腸バリウム検査や大腸内視鏡検査で、直接大腸を調べる必要性があります。
 便潜血反応検査は、各自治体での大腸がん健診に広く利用されています。また、友の会健診(二千円)でも五百円追加で検査できますのでご利用ください。

 次回は、注腸バリウム検査と大腸内視鏡検査そして、大腸ポリープについて話を進めたいと思います。