調理師 大野フサ子

■ 誤飲を防ぐ食事つくり ■
 食べることは、健康を維持するためだけではなく、生きる楽しみでもあります。
 今回のテーマである誤嚥は、食べ物や唾液などが本来空気の通り道である気管に入ってしまうことを言い、飲み込む機能が何らかの原因で低下した状態を嚥下障害と一般的にいいます。

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嚥下障害のサインをつかむ
 嚥下障害は、加齢(老化)も原因の一つで、筋力の低下や歯の状態、入れ歯の不具合などがあると発生しやすいといえます。
 また、脳血管障害(脳卒中)や痴呆、長期間に及ぶ経管などによっても嚥下障害が引き起こされることもあります。
 誤嚥を起こすと、食べ物などが気管や肺に残り、細菌が繁殖し肺炎を起こしてしまいます。
 本人が気づかないうちに誤嚥を起こし、肺炎や気管支炎になっていることも多く、家族などが出来るだけ早く嚥下の状態をつかむ必要があります。


嚥下障害のサインを表にまとめましたので参考にしてください。
嚥下障害のサイン

1. むせる 
2 声がゼロゼロする
3. セキがでる       
4. クンの量が増える
5. 食ぺ物の好みが変わる  
6 あごを上げて飲み込む
7. 食事に;時聞がかかる   
8. 食欲が落ちる。


 誤嚥は、食べはじめの一口目に多いといわれます。
 食べる前に顔やのどの緊張を解くために、発声練習や口・舌を使った体操などを取り入れるのも効果があるといわれます。
 また、口の中を不衛生にしていると嚥下に必要な感覚の低下を招きやすく、歯や入れ歯の状態も大きく影響します。
 必要な場合は医師に相談し、歯科治療を受けることも大切です。

水分が不足がち、脱水に注意を
 一般的に『飲み込みにくい』と感じている人は、水やお茶といった液体にむせやすく、水分が不足しがちです。また、高齢者はのどの渇きを感じにくくなっています。
 普通に食べることが出来れば、食事に含まれる水分があり不足することは余りありませんが、食べる量が少ない場合や気温が高い夏などは知らず知らずに脱水症になっている危険性があります。
 スポーツドリンクなどは水分補給に効果的ですが、「飲み込みにくい」と感じている時は、飲み込みやすいゼリーなどで水分を補給すると良いでしう。

トロミをつけて調理に工夫を
 食べ物を飲み込みやすくするための基本は、「粉砕してトロミをつけるか、ゼリー状に寄せる」ことです。
 トロミ調整食品を使えば、トロミをつけるのも固めるのも自由自在です。トロミ調整食品には、スルーソフトS(商品名)などがあり、無味無臭の粉末で主成分はでんぷんなどで作られており、薬局や介護専門店で容易に手に入ります。

 液体に混ぜれば料理の温度にかかわりなく自由な粘度をつけることが出来ます。寄せ物のほか汁物、煮物などに少量入れるとぐっと飲み込みやすくなります。一度試してみてください。

 では実際に誤嚥を防ぎ、飲み込みやすくする調理方法を紹介します。
* 大根おろしは一度加熱して使用する。
* インゲン豆はだし汁と調味料でやわらかく煮る。
* はんぺん、ソフトかまぼこはだし汁と調味料でやわらかく煮、あんがらめにする。
* カリフラワーは、やわらかく煮る。スープ煮、クリーム煮などにする。
* エビ・ホタテはすり身状態で使用し、団子にして蒸し物、煮物に
* ワカメはミキサーにかけて寒天寄せにする。(ほうれん草、にんじんも同様に)
* ソーメンはだしの効いためんつゆの中に流し入れ、寒天で寄せる。
* 魚は煮物、蒸し物、ムニェルなどのほか、すり身状にして形を整える。
* 酢の物は、酢を控えめにし加熱して刺激を和らげ、寒天寄せにする。

 日常の献立は、嚥下の状態に合わせながらひと工夫をしてみてください。一口一口の量を少なめに、ゆったりと落ち着いて食事をとる環境を家族でつくり、いつまでも楽しく食事が出来るようにしましょう。

家庭で簡単に出来る献立を紹介します。
<枝豆豆腐>
枝豆 30g
長いも 15g
絹ごし豆腐 20g
卵白  10g
塩  0.1g
あん (しょう油5cc、だし汁50cc、みりん2cc、片栗粉3g)
{作り方}
@冷凍の枝豆は柔らかくなるまで茄で、薄皮をむく。
A枝豆、長いも、絹ごし豆腐、卵白、塩をミキサーにかけ、型に流して10-15分蒸す。
Bしょう油、だし汁、みりん、片栗粉であんを作り、枝豆豆腐にかける。

<えびしんじょ>
むきエビ60g
卵白 15g
長いも15g
酒3t
だし汁12t
あん(しょう油1t、塩0.1g、だし汁50t、みりん2t、でんぷん3g)
{作り方}
@ むきエビ、長いも、酒、塩、だし汁を合わせ、ミキサーにかける。
A 卵白をしっかりあわ立てる
B @とAをざっくりと混ぜ合わせる。…
C 小鉢の上にラップをしいて、Bを入れ茶巾包みにして10-15分蒸す。
D あんをつくり、かける。