介護福祉士 伊藤琢也

■ 家庭介護―食事介護について ■
 ご家庭での介護には、排泄や着替え、入浴、運動などたくさんありますが、食事の介助について簡単にお話したいと思います。
 食事は生きていることを実感できる大切な時間であり、健康を保つ上でも欠くことのできないものです。楽しい食事ができるよう、ぜひ家族で工夫をしてみてください。

 リハビリの三原則は「甘えず、あせらず、あきらめず」と言われています。
自分でできることは自分で。
 こぼしたり、汚したり、食べるのが遅いなどで急がすことのないようにしたいものです。介護する方には、ご苦労も多いことと思いますがゆっくり、あせらずにいきましょう。

▼   
できれば座って食べる
 場所、設備、安静度などの条件で居室で食べなければならないこともあります。
 居室で食べる場合でも可能な限りベッドから降りていすに座って食べるようにしたいものです。しかし、それが不可能な場合はベッドまたはふとんの上で座位にしましょう。

 布団の上での座位――
@壁、タンスなどの家具にもたれる。
A座いすを利用する、
Bいすを逆にして用いる
C布団、座布団を積み重ねる。
 しかし、身体の変形や障害、治療上の必要性から寝たまま食べなければならない場合もあります。
 寝たままであっても通常15度くらいは頭部を上げることができる場合が多いですが、頭部が15度上がるだけでも視野は広くなり、胃が腸管で圧迫されることが少なくなりますから、食欲も出ますし、誤飲も予防できます。
 座ぶとんを肩甲骨の下まで入れ、さらに二つ折りにした座ぶとんを肩から頭に入れるだけでも頭部を上げた感じになります。
 また横同きにすると食べやすいですが、その際には背中には座ぶとん、クッション、まるめた毛布などをあてると安定して食べることができるでしょう。

水分は十分に
 ゆったりと食事ができるよう食事前にはトイレにいってもらいましょう。
 水分はたくさんとってもらいましょう。液体ばかりは飲みづらいので、水分を多く含む食品などを利用してとりましょう。
 夜間のトイレが大変だからと水分を控えるお年寄りの方がいますが、あまり水分を控えると脱水症状が出たり便秘の原因になりますので気にしないように配慮しましょう。

手づかみでも自分で
 たとえマヒを持っていても、つかみやすいスプーンやフォークなどを使えば、介助がなくても食べられます。
 お箸が使えないからといって、すぐに介助してしまうのはお年寄りの残存能力を無くしてしまいます。
 手づかみでも白分で食べられる人は、その方がいいかもしれません。
 介助者の勝手な判断で介助してしまわずに、お年寄り本人がどこまで自分で出来るかよく見て介助して下さい。

使いやすいスプーン、フォークを
 握ることが困難な場合、握りやすいように柄を太くしたり、障害の程度に応じて型や角度を工夫しましょう。
 家庭のものでもハンカチ、ガーゼをまくなどして工夫すれば、用いることができます。

調理方法に工夫を
 お年寄りにとって使いやすい食器を使う他に、食材によっては調理方法、切り方を変えると、介助が無くても自分で食べられるかもしれません。
 嚥下力が落ちていたり、歯の調子が悪くて固いものが食べられない事があります。そういう場合は、柔らかくしたり、形を崩すと食べやすくなります。

食事介助のポイント
・しっかり目覚めてから食事を始める。
・座位がとれる場合は、車椅子や椅子に移動してもらう。
・寝たままの場合は、ベッドであれば上半身を30度ほどギャッジアップする。布団であれば背中、首にクッションなどをあて、同じく30度ほど上体を起こす。
・介助するときは、利用者のぺースに合わせて、飲み込んでから次の物を入れる。
・ 始めにお茶や水を少量含ませ、口を湿らせると誤嚥の防止になる。
・ 方麻痺のある場合は、口の中に食べ物がたまりやすいので一度にいれる量を少なくする。また、食べ物は麻痺のない側の口の端からいれる。