北見病院医長 土屋香代子

■ 「かぜとインフルエンザ」 ■

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 体を守る働き

 空気中には病原性微生物を含め、様々な異物が存在し、空気と一緒にこうした異物を絶えず吸い込んでいます。

私たちの体には体を守る様々な仕組みがあり、かぜや肺炎にならないように微生物を排除しようとします。

まず、鼻毛や鼻腔・咽頭などの粘膜で異物は捕らえられ、鼻水やくしゃみとともに排出されます。

これらの奥の気管支には、線毛と呼ばれる細い毛が絨毯のように生えています。
この線毛により異物は外へ運ばれます。
又、線毛は液体に覆われ、異物はこれに乗っても外へ運び出されます。
 肺の奥まで入った異物はマクロファージと呼ばれる細胞により殺されます。

かぜはどんな病気か?
 
 かぜは主にウイルスに感染して、上気道(鼻腔から喉頭まで)に急性の炎症が起こる病気の総称です。
 炎症が起きている場所により鼻炎・咽頭炎・喉頭炎などとも呼ばれます。

 また、かぜをこじらせ気管まで炎症が及ぶと気管支炎となり、肺胞と呼ばれる肺の一番奥まで炎症が及ぶと肺炎となります。

 病原菌が体に侵入して1〜2日の潜伏期間後に様々な症状が生じますが、私たちの免疫により病原体を撃退してくれるため、発症後3日もすれば強い症状は治まるのが普通です。しかし、炎症により破壊された粘膜に細菌が感染すると、気管支炎・肺炎・副鼻腔炎・中耳炎などを生じるため、3日以上たっても症状が悪化する場合は注意が必要です。
 
インフルエンザとは 

インフルエンザにはA型・B型・C型があります。C型は小児の施設で小流行をとることが多いため、一般に流行するインフルエンザはA型とB型となります。

 インフルエンザと普通のかぜには、症状経過に大きな違いがあります。

 かぜはのどの違和感・鼻水・くしゃみなどが徐々に出現し、熱・頭痛・全身倦怠感が比較的軽く、1週間前後の経過で治癒するのが普通です。

 それに対しインフルエンザは急激に高熱が出現し、筋痛・全身倦怠などの全身症状を訴えます。
 また、大体11月末から翌年の2月までに集団発症します。回復は遅く、咳や全身倦怠が後まで続く場合もあります。肺炎などを引き起こすもあります。ごく稀ですが、小児では心筋炎・脳炎などが生じることがあり注意が必要です。
 ライ症候群もその一つで、急性期に高熱を伴って意識障害・痙攣・肝障害などを生じます。解熱剤のサリチル酸などが引き金になると言われており、現在小児の解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバ・カロナールなど)の投与が勧告されています。

特効薬はありません
 
かぜの原因となるウイルスに直接作用する薬は、残念ながら今のところありません。それぞれの症状に応じた薬を使って、症状を緩和する対症療法が中心になります。
 インフルエンザも対症薬を用いて症状を和らげる治療が基本になります。

 最近、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が開発されました。発症から48時間以内であれば解熱効果があり、高齢者・免疫の低下した方には有効と考えます。
 肺炎などの細菌感染を合併した場合は抗生剤が必要になります。

栄養と休養を

 かぜを早く治すには、生活のなかで気をつけることがあります(表1)。
 かぜをひくと、ビタミンCをはじめ、よけいに消費される栄養素も少なくないので、栄養価の高い食品やビタミンCを含む果物などを積極的にとりましょう。

 気道は粘膜を保護するためには適度の湿度が必要です。部屋に洗濯物を干すなどの方法があります。

インフルエンザはワクチンで予防を

 かぜは温度が急激に下がったときにひきやすいので、体を冷やさないように注意しましょう。
 また、インフルエンザは乾燥・冷所で活発化するため、部屋が乾燥しないようにしましょう。さらに、偏った食生活・過労・睡眠不足も避けたいものです。
 インフルエンザはワクチンの予防接種が一番の予防策です。効果は2週間ほどで現れ、約半年間は効果が持続します。
 
 かぜは(万病のもと)といわれています。高齢者や慢性疾患を持っている方は、早めに受診をしましょう。
 また、働き盛りの方は「かぜぐらい」と無理をして肺炎になる方が多いようです。早めの受診と休養を確保しましょう。参考文献:今日の健康・インフルエンザとかぜ症候群
かぜを早く直すために
保温と安静
水分を十分にとる
栄養をとる
保湿を心がける
熱のある時は入浴を控える
禁煙する

 家族みんなで予防を
 うがいや手洗いをこまめにする
 過労や睡眠不足を避ける
 栄養バランスの良い食事
 室内の乾燥を防ぐ
 かぜをひいた人はマスクをする
 湯冷めに注意
 お年寄りは保温を心がける
 子供は抵抗力をつける
 インフルエンザワクチンの予防接種