医師 土屋香代子

今回のなんでも健康相談室は、タバコの害について土屋香代子医長にお話をしていただきました。
 禁煙チャレンジの機会にしていただければ幸いです。

■ あなたも禁煙にチャレンジしませんか? その1 ■

  タバコの害について
              

 ▼今回から2回に分けて「タバコの害について」お話したいと思います。タバコの害は聞きたくない、と言う方も最後まで嫌がらずに読んでくださいね。

日本は喫煙王国
 成人男性の喫煙率は1966年の84%をピークに30年間で約25%減少しましたが、現在も50%台で世界第4位です。米国・英国の20%台と比べると、先進国では驚くほど高い喫煙率です。

 また、成人女性の喫煙率は平均15%前後で、30年間ほとんど変化がありませんが、高齢者で減少、若年者で増加傾向を示しています。

タバコの煙
 タバコの煙には有害物質が約二百種類ありますが、その中の代表がニコチン・タール・一酸化炭素です。ニコチンには、血管収縮作用・気管支収縮作用・習慣性があり、タールには発癌作用があります。一酸化炭素は血液中の酸素の運搬を妨げます。

 タバコの煙は、喫煙者が吸い込む煙の主流煙と、肺まで吸い込んで吐き出した呼出煙、そして、タバコの先端から立ちのぼる副流煙があります。フィルターを通過した煙と比べ、副流煙は刺激性があり、毒性も強くなります。(主流煙の2.8倍のニコチン、3.4倍のタール、4.7倍の一酸化炭素が含まれる)

 つまり、本人がタバコを吸っていなくても、ご家族のタバコの煙によって肺癌死亡率は2倍に上がります。
 喫煙野放し状態の職場では、長時間の副流煙を吸うことにより、肺癌死亡率は4〜6倍、虚血性心疾患(心筋梗塞など)による死亡率は3〜4.5倍となります。

 タバコは百害あって、一利なしです。タバコを吸えばリラックスする、頭がすっきりすると反論する人がいますが、これはニコチンの禁断症状が解消しただけなのを知っていましたか?

 タバコを吸うことによる病気
 タバコにより、様々な病気が生じます(表1)。喫煙者の肺癌による死亡率はタバコを吸わない人の4.5倍です。男性肺癌死の70%、女性肺癌死の26%は喫煙が原因とされています。

 タバコの喫煙量を示す指標があります。1日の平均喫煙量(本数)×喫煙年数(年)で計算してください。この数値が200を超えた場合肺癌などのタバコ病の危険が高く、600以上では非常に高いと言えます。

 現在これらを超えている人でも、禁煙することにより、発癌の可能性は5年で50%に低下し、10年で25%に低下するといわれています。禁煙の決断は1日でも早いほうがよいですね。

 癌だけではありません。タバコを吸うことにより虚血性心疾患(心筋梗塞など)による死亡率は1.7倍・クモ膜下出血は1.8倍に上昇します。

 さらに、脳卒中・歯周病・骨粗鬆症・老化の促進などの原因にもなります。

 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)は咳・痰・息切れを生じる病気で、悪化すると体の中の酸素が足りなくなり、鼻などから常時酸素を吸わなければなりません。この病気のほとんどはタバコにより引き起こされます。

 妊娠中の女性が毎日20本以上喫煙すると、低体重児の出生率は2倍、小児喘息・先天性心臓病の発生率も2倍になります。もちろん同居者によるタバコの煙でも子供に害は生じます。

 今回は、タバコと病気の話が中心になりました。次回は、ニコチンガムやパッチ(貼り薬)を使った禁煙についてご紹介します。

参考文献
やさしい禁煙の方法と自己管理(医療ジャーナル社)、日本禁煙推進医師歯科医師連盟のパンフレット