臨床検査技師 田中裕之

■ 尿検査のお話 ■

▼   
 尿検査は古くから行なわれている検査の一つで、簡単にそしてくり返し採取できますから、検査材料として尿は最適な検体と言えます。
 また、尿中にはいろいろな成分が含まれており、その量的変化や、普段尿中には出ない異常成分を調べることにより多くの病気の診断に役立ちます。

 今回は、自分自身でもわかる尿の色調、混濁(にごり)、臭気(におい)について、そして病院などで行なわれている尿検査の紹介、尿の適切な採取法を紹介します。

色とにごり、その原因は?
 尿が黄色いのは、ウロクロムという色素によるもので、濃縮の程度により変化します。尿の色と混濁(にごり)はいろいろな条件で変化し、体の状態や尿を採取した時間、また治療に使っている薬によっても変化することが多々あります。尿の色調と混濁については表1にまとめました。


尿の臭い
 普段の尿はわずかに芳香臭がするだけですが、病気によってはその病気特有の臭いがします。膀胱炎の場合、尿中に細菌がいるので、その細菌が尿素を分解しアンモニアに変化させるため、不快なアンモニア臭が生じます。また、重症の糖尿病ではケトン体(アセトン)を多量に排泄するため、甘酸っぱい臭いがします。また非常にまれな病気ではありますが、小児の先天性の病気であるフェニルケトン尿症ではネズミの尿のような臭いがし、メ−プルシロップ尿症ではメ−プルシロップ様の甘い臭いがします。

検査用の尿の採り方
 尿検査を行なううえでもっとも適切な尿は、朝起きた直後に採る早朝第一尿です。なぜかというと、早朝第一尿がもっとも濃縮されていて、尿中の化学成分や固形成分が多く含まれているからです。

 しかし病院の一般外来ではむずかしいため、来院したときに尿を採り検査をすることになります。早朝第一尿よりはうすくなり化学成分や固形成分は少なくなりますが、病気の可能性をさぐるには十分です。

 次に尿の採り方ですが、前半の尿を捨てて中間尿と言われる後半の尿を採る方法が適しています。これは、尿道付近に付着している細菌や上皮細胞を前半の尿で洗い流すことができ、より正確な結果が得られるからです。また女性の場合は外陰部や膣の影響を受けやすいので、消毒綿などで拭いたあとに尿を採ると良いでしょう。


病院での尿検査

【尿一般定性検査】
 尿中の化学成分を調べる検査で、尿中に試験紙を浸しその色の変化を見て異常がないか調べます。この検査ではいろいろな病気の可能性をさぐることが出来、尿検査の中でも一番多く行なわれている検査です。

 腎機能障害や膀胱炎、腎炎などで尿路系(腎臓→尿管→膀胱→尿道といった尿の通り道)に炎症がある場合には尿中にタンパク質と潜血反応が出ます。また、腫瘍や結石が尿路系にある場合にもそこから出血し、潜血反応が陽性になります。

 糖尿病の場合はブドウ糖が尿から検出されますが、糖尿病がさらに悪化し重症化するとケトン体も陽性となります。

 肝機能障害がある場合は、ビリルビンやウロビリノゲンが陽性になります。また肝臓、胆嚢、胆管に腫瘍ができて胆管がつまるとビリルビンが尿から検出されるようになります。

【尿沈渣(ちんさ)】
 尿沈渣とは、尿を遠心分離機にかけ沈殿したものを顕微鏡で観察することにより、尿中にある固形成分を調べる検査です。
 腎炎や膀胱炎などの尿路系の炎症では赤血球、白血球、上皮細胞、細菌が尿中に多く出てきます。また、尿路系の腫瘍や結石による出血では、赤血球と上皮細胞が増加します。

 細菌やウイルスが感染すると変形した上皮細胞がみられます。腎臓に機能障害(腎不全やネフロ−ゼ症候群)がある場合には、尿円柱が出てきます。

 今回は尿検査の中でも代表的なものを簡単にまとめましたが、健康な人でも食事や運動などの影響で異常が出る場合があり、必ず病気と結びつくとは限りません。

 ただ、健康診断などで指摘があった場合は、もう一度検査を受けることが大切です。尿検査はいつでも簡単に出来る検査ですから、気軽にご相談ください。また、尿の採り方などわからないときは、検査室に声をおかけください。